製薬・バイオ

メタバースファクトリー構築による運営最適化および品質向上の事例

製薬の製造現場を仮想環境に再現し、運営最適化と品質向上に活用した事例です。2023年、中小ベンチャー企業部・スマート製造革新推進団のメタバースファクトリー構築支援事業として遂行しました。

産業
製薬・バイオ
実施年
2023
適用ソリューション
A²LABデータ標準化
  1. 課題

    クリーンルームで運営される製薬の生産現場は、立ち入りそのものが制約になります。設備の状態を確認したり課題を議論したりするには更衣と入室手続きが必要で、外部の専門家や他事業所の人員が現場を一緒に見ることはさらに困難でした。生産情報とクリーンルームの環境データ、電子文書がそれぞれ別のシステムに分散しており、一つの画面で状況を把握することもできませんでした。設備も打錠機・コーティング機ごとに担当者が張り付く必要がありました。

  2. 収集データ

    生産実績と工程情報、クリーンルームの環境状態、電子文書など、既存システムに分散していたデータを仮想工場に連携しました。生産設備の運転データは遠隔制御と品質予測の双方に使用しています。

  3. 適用モジュール

    実際の生産設備と同一の仮想工場を構築し、そこにビッグデータ・人工知能・設備制御技術を組み合わせました。生産情報を学習したAIモデルが品質を予測し、最適な生産歩留まりと品質のための工程条件を算出します。KILAN打錠機、GLATTコーティング機など医薬品生産設備の遠隔制御機能も実装しました。トブワークスと共同で開発しています。

  4. 成果

    仮想空間で内外部の人員が音声・文字、および既存メッセンジャーとの連携により対話しながら協業できるようになりました。生産情報とクリーンルームの状態、電子文書を一つの画面で確認します。設備の遠隔制御により、一人が複数の設備を運用する体制が可能になりました。2024年3月から現場に適用し運用中です。

立ち入れない工場

製薬の生産現場のクリーンルームは、誰でも入れる場所ではありません。それは規定であり、守られるべきものです。問題は、その制約が協業の制約につながるという点です。

設備に異常の兆候が見えて議論が必要なとき、関係者が同じものを見ながら話すことが難しい。一人が入って見て、出てきて伝える方式は遅く、伝達の過程で情報が削られます。外部の専門家や他事業所の人員であれば、なおさらです。

工場をもう一つ建てました — 仮想で

メタバースファクトリーは、既存のスマートファクトリーから一歩進んだ形です。実際の生産設備と同一の仮想工場をつくり、そこにデータをリアルタイムで接続します。現場と仮想空間が互いに連結し、作用し合う構造です。

仮想工場の中では、入室手続きなしに設備と工程を見ることができます。内外部の人員が同じ空間に集まり、音声と文字で話し、使っているメッセンジャーを連携してそのまま使います。議論の敷居を下げることが、このシステムの第一の目的でした。

分散した情報を一つの画面に

生産情報は生産システムに、クリーンルームの状態は環境管理システムに、関連文書はまた別の場所にありました。状況を把握するには三か所を行き来する必要がありました。

仮想工場にこれらのデータを連携し、一つの画面で生産実績とクリーンルームの状態、電子文書を併せて見られるようにしました。

予測と遠隔制御

ここに二つを追加しました。

品質予測 — 製品の生産情報を学習したAIモデルが品質を予測し、最適な生産歩留まりと品質を得るための工程条件を算出します。

設備の遠隔制御 — KILAN打錠機、GLATTコーティング機など医薬品生産設備を仮想工場から遠隔で制御します。設備ごとに人が張り付く必要があった構造が、一人が複数の設備を運用する構造へ変わります。

現在

2023年のメタバースファクトリー構築支援事業として製薬顧客を対象に開発し、2024年3月から現場に適用して運用中です。展示用のシステムではなく、実際に使われているシステムです。

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